ベンキューのデザイナー/映像クリエイター向けモデルの「PD2705U」がアップデート。
スタンドの代わりに新開発の「エルゴアーム」が同梱される「PD2705UA」は、MacBook 用の外付けモニターとして注目してほしいモデルです。
メーカーから型番がSWやPDなどで始まるモニターが多数展開されていますが、このPDシリーズは「デザイナー/映像クリエイター」向けのラインナップとして位置しています。
この度レビューする機会に恵まれたので、新開発のエルゴアームも含めてレビューしていきます。
MacユーザーにオススメのデザイナーモニターBenQ 「PD2705UA」レビュー
この「PD2705UA」は、「PD2705U」に付属するスタンドの代わりにエルゴアームが同梱されたモデルになります。 ※ スタンドは付属しません
スタンドがエルゴアームに替わったことで、デスク上がスッキリと片付き、見た目の美しさと利便性が大幅に向上しています。
これまで他社のモニターアームを別途購入していた人にとっては嬉しい変更点だと思います。
新開発のエルゴアームが秀逸
取り付けが簡単で可動域が広くピボットにも対応
このエルゴアームの出来映えが素晴らしく、取り付けも簡単で操作性にも優れています。
クランプのストッパー部分の金具には滑り止めのゴム素材が取り付けられており、軽い力で締め付けが可能で机に傷をつけることはありません。
このゴム素材が、ポール部の脱落やズレ防止に一役買っていると思われます。
ディスプレイを上下左右前後へ移動させたりピボット回転させるのがとてもスムースで小気味よいです。
モニターはオートピボットに対応しているので、モニターを90°回転させるだけで自動で縦画面になるのも嬉しいポイントです。
※ Display Pilotソフトウエアをインストールする必要があります
コンパクトなアームなのに可動域が広いのも特徴の一つです。
筆者のデスクが奥行70cmあるのですが、前後の移動に27cmくらいの可動域があり、一般的な用途で使う分には必要にして十分な可動域です。
モニターを頻繁に移動させる人は、下の写真の様にケーブルの長さに余裕を持たせて配線する方がいいでしょう。
モニターの重量は10kgと軽いので、女性でも難なく取り付け設置する事ができると思います。
電源コードなどの配線はエルゴアームの中へ隠すことができるので、配線のごちゃごちゃから解放されます。
BenQ PD2705UA の主な特徴
BenQ 独自の AQCOLOR クオリティと 4K UHD の高解像度により、デザイナーが望み続けてきた明瞭性と色精度、 またムラ補正技術により、均一な輝度を実現。デザイナーに快適な作業空間を提供し、インスピレーションを形にします。
BenQ PD2705UA おすすめポイント
おすすめポイント
- 輝度ムラ補正技術を搭載し、より均一なユニフォミティを実現
- 27 インチ大画面、ノングレア IPS パネル採用、3 辺フレームレスのスタイリッシュなデザイン
- 4K UHD(3840 x 2160)の高解像度、HDR10 対応
- 10-bit カラー、sRGB/Rec.709 99%カバー率の高色域
- 独自設計のモニターアームで幅広い調整が可能
- USB Type-C 対応の接続ポートにて、65W 給電、オーディオ、映像、データ転送が可能
- CAD・CAM モード / デザイン(アニメーション)モード/暗室モード、2つのモードを同時利用できる DualView
- 作業効率向上に役立つ KVM スイッチ(パソコン切り替え)機能搭載
- 便利な PIP 表示、最大2分割できる PBP 表示
- アイケアテクノロジー、フリッカーフリーやブルーライト軽減などにより、目の疲れやダメージを軽減
27inch のノングレア IPS パネルを採用した3辺フレームレスでスタイリッシュなデザイン
ポイント
- 27インチ16:9 の表示領域がもたらす快適なワークスペース
- ピクセルの粒状感を感じさせない4K UHD(3860×2160)の高解像度
3辺フレームレスのスタイリッシュで美しいミニマルデザインです。
毎日使うものだからこそ、プロダクトデザインにはこだわりたいものです。
27 inchの画面は、大きすぎず小さすぎず、ちょうど良いサイズ感です。
ノングレアIPS パネルを採用しており、モニターを見る角度によって見えづらいという事もありません。
HDR10 に対応したピクセルの粒状感を感じさせない4K UHD(3860×2160)の高解像度
ディスプレイの解像度は4K UHD(3840 x 2160)の高解像度を誇り、ピクセルの粒状感を感じさせない高解像度は、イラストレーターや映像クリエイターなどのクリエイティブな作業に最適です。
HDR10 に対応しており、デジタルコンテンツの暗い部分を持ち上げて、黒つぶれのない鮮明な色を表示します。
性能面では、輝度は通常時250cd/㎡ 、HDR 時350cd/㎡ でコントラスト比は 1200:1。
視野角(左右/上下)(CR>=10) が178°/178° で応答速度 5ms (GtG)。
アスペクト比は16:9 で、表示色は約10億7000万色。
画素密度は163ppi の性能です。
これらスペックは、上位モデルのSWシリーズと同等です。
AQCOLOR色精度保証による高解像で広いダイナミックレンジと完璧な色再現性
「PD2705UA」は、プロフェッショナル向けのカラー標準に対応するため、正確な色再現、キャリブレーション、 認証カラーのコンビネーションを有するプロ向け AQCOLORシリーズの一つです。
カラ ーエキスパートを招聘し、ICC(International Color Consortium) や ISO (International Standard Organization)にも積極的に参加することで、色に関連する基準の確立を進めていきます。
10-bit カラー、sRGB/Rec.709 カバー率99%の高色域
「PD2705UA」は10-bit カラーをサポートし、sRGB と Rec.709 の色空間を 99%カバーしています。
高度な IPS 広視野角技術が色ズレを最小限に抑えるため、デザイナーが自信を持ってクリエイティブワークに取り組むことができます。
sRGBの色域を99%カバーしてデジタル業界の標準に準拠し、Web デザイナーに欠かせない正確な色再現を保証してくれます。
さらに、Rec.709 の色空間 99%カバーにより、ビデオ放送に求められる高精細解像度、フレームレート、色域、ガンマ、白色点等も正確に再現されます。
10bitカラーと8bitカラーの色数の違い
10bit | 8bit | |
階調 | 1024 | 256 |
色の数 | 約10億7374万 | 約1677万 |
工場出荷時の個別キャリブレーションによるプロ仕様の厳密な色精度
「PD2705UA」は製造時に工場で 1台1台個別に キャリブレーションされており、これにより色差とガンマの精密性が確保されます。
キャリブレーション結果は業界のカラー標準 に照らして検証されているため、オリジナルコンテンツを最大限忠実に再現できます。
CalMAN 認証および PANTONE カラー認証取得
「PD2705UA」は、自社の色校正だけでなく、外部認証の カラー認証も取得しています。
CalMAN 認証及び PANTONE カラー認証を取得することで、より安定した色精度を提供します。
輝度ムラ補正技術による均一なユニフォミティを実現
上位機種である「SWシリーズ」に取り入れられている「輝度ムラ補正技術」を搭載しており、より均一なユニフォミティの実現を可能にしています。
画面全体で色と明るさの両方を細部までムラのない均一なユニフォミティを実現し、 真正で一貫した完全な色表現を提供します。
ユニフォミティとは
ユニフォミティとは画面全域の輝度と色合い均一のこと。
液晶ディスプレイなどでは、この補正機能がないと表示にムラが発生しやすくなる。
輝度ムラや色ムラが大幅に発生すると、それがストレスになって疲労感を感じてしまう。
USB Type-C 65W 給電対応の接続ポートでオーディオ・映像・データを転送
MacBook とモニターディスプレイの接続は、付属のUSB Type-Cケーブル1本で完結します。
またMacBook Pro に、65W給電を行う事が出来ます。
DisplayPort Alt Mode により、オーディオ、映像、データ転送が可能になっており、画像だけでなく動画編集モニターとしての実力も兼ね備えてあります。
さらに、 2台のディプレイで 2つの異なる画面モードでデザインを並べて表示することができる DualView(デュ アルビュー)や、10段階の明るさを調整することができるアニメーションモードなど、クリエイターの作業を快適にする多彩な機能を搭載しています。
また、本体のタッチボタンを使わずに画面モードの切り替えができる便利なホットキーパック G2 (OSD コントローラー)や、2台のPC を 1セットのキーボードとマウスで操作することができる KVM スイッチもアップグレードされ、ワンランク上のディスプレイソリューションを提供します。
用途に応じた様々なディスプレイモードを搭載
モニターディスプレイを用途に応じて様々なケースに最適化させたモードを選択することができます。
Macと同じ色味を再現できるM-bookモードを搭載
「PD2705UA」は、Macと同じ色味を再現できるM-bookモードを搭載しています。
M-bookモードを使えば、外出先で写真や動画の編集をMacBook Proで行って事務所や家に戻ってきてから「PD2705UA」の大画面で編集を再開しても、混乱することなく同じ色味で作業を継続する事ができます。
MacでもiPhoneでもモニターでも同じ色味を再現できることは、プロクリエイターにとってとても有り難い機能だと言えます。
また付属のホットキーパックG2を使えばワンクリックでM-bookモードへの切り替えができます。
CAD/CAM モード
3D のカラーラインのコントラストを高め、くっきりと際立たせます。
これはデザイナーのみならず、CAD を使って機械設計や建築設計を行う人にとって、かなり有り難い機能です。
複雑なオブジェクトのワイヤフレームのディテールを識別する際は、 CAD/CAM モードをオンにして色とコントラストの設定を変更することにより、グラフィック情報を細部まで把握することができます。
デザイン(アニメーション)モード
デザイン(アニメーション)モードでは、明るさを10段階で調整することができます。
輝度を自在に変えることが出来るので、環境光に関係なく画面をはっきりと見ることができます。
暗く影になっている部分のディテールをより明瞭に表示できるため、制作物をスムーズに微調整できます。
Photoshop やIllustrator でピクセル単位の作業をするのにとても便利です。
暗室モード
画像の明るさとコントラストが調整され、低い輝度でもディテールが鮮明に表示される暗室モードは、 明るさを落として行う後処理作業に最適です。
画像データのレタッチに最適なモードです。
DualView(デュアルビュー)機能で2つの画面モードを同時表示
1台のディプレイで 2つの異なる画面モードでデザインを並べて表示することができるため、 ワークフローと生産性を向上させることができます。
例えば、sRGB と CAD/CAM を同時利用すれば、 くっきりのカラーラインを描写しながら、正確な仕上げ画像を確認できるので、楽々作業できます。
特に「液タブ・板タブ」を使って、イラストを描いたり3D モデリングを行ったりするのに最適なモードです。
KVM スイッチ(パソコン切替)機能搭載
2台の PC で作業する場合、それぞれのディスプレイ・キーボード・マウスの 1セットが必要ですが、 「PD2705UA」 では、内蔵の KVM スイッチ機能により、同一のキーボードとマウスから両方の PC を切り替えながら操作可能のため、スペースの節約と作業効率の向上につながります。
PIP/PBP モード
PIP/ PBP 機能を使うと、複数プロジェクトを並行して進めることが可能になります。
MacBook Pro だけでなくiPad Pro ともPIP モードで表示することができます。
これはアプリケーション開発をしている人にとって、かなり便利な機能です。
2台の別々の PC 上のプロジェクト画面を 1台のモニターに同時に表示できるため画像の比較が容易になり、生産性と作業効率が向上します。
「PD2705UA」 は 2 分割 PBP を利用可能です。
画面を2等分にしてFullHD 解像度のコンテンツを並べても視認性が高いので、様々な場面で活用できます。
例として、1台のMac で2画面作成を行えば、レタッチ前と後での写真の比較が一目でできます。
フリッカーフリーやブルーライト軽減などにより、目の疲れやダメージを軽減するアイケアテクノロジー
BenQ独自のアイケア技術は眼精疲労を軽減し快適さや生産性を高めて、長時間の使用でも目の疲れを心配する必要はありません。
この機能を有効にするには、OSD MENUから「カラー設定>カラーモード>ブルーライト軽減」を選択します。
ICC 同期
ICC プロファイルの読み込みと同期を自動的に行い、モニターとノートPC の色域を一致させ ます。
アプリケーションモード
Photoshop や Web ブラウザーなど、アプリごとにカラーモードを設定すれば、アプリを起動するだけで自動的にモードを切り替えます。
デスクトップ分割
好みのレイアウトを選択し、アプリのウインドウをドラッグするだけで、最大4分割までの設定が可能です。
オートピボット
モニターをピボットさせると、 画面表示も自動的に回転し、レイアウト確認も容易になります。
印刷アシスト
印刷アシストは、選択した用紙サイズがオーバ ーレイとして画面上にポップアップ表示されます。
印刷時のレイアウトプレビューが容易にな ります。
キーボードホットキー
頻繁に利用するカラーモードや画面設定を、キーボードのショートカットで切り替えることが できます。
まとめ
ベンキュー「PD2705UA」はプロフェッショナル向けでありながら導入しやすい価格設定なのも魅力の一つ。
27インチ4K UHD IPS液晶の筐体はまさにベストなサイズで、MacBooKとの接続はUSB-Type Cケーブル1本だけで済むのは嬉しい機能です。
またUSB PDでPCに65W給電も行え、筆者のM1 MAX MacBook Pro 16inchでも余裕で運用できました。
画面のユニフォミティが高く、画面の四隅に至るまで輝度ムラは全く見られない。
また「M-bookモード」が搭載されており、Macとの親和性が高いことも、Macユーザーにとって選択肢の理由になります。
あらゆるプロフェッショナルクリエイターにおすすめしたいモデルです。